近年、ビジネスマンの間でも注目を集めるマインドフルネス。日本国内でも、社内研修や従業員のメンタルケアの一環として、マインドフルネスを取り入れる企業が増加しています。
本記事では、マインドフルネスの実践によって期待できる4つのメリットをご紹介します。
マインドフルネスの実践方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
マインドフルネスとは?言葉の意味から解説
マインドフルネス(mindfulness)とは、「今、この瞬間だけに意識を集中している状態」のことをいいます。
仏教の修行法の一つである瞑想をベースとしたもので、1970年代にマサチューセッツ大学医学大学院で医療行為として取り入れられたのがはじまりです。近年は心と身体のケアに有用であるとして、ビジネスシーンでも注目を集めています。
マインドフルネスを導入している企業
Appleの創始者であるスティーブ・ジョブズは、自らマインドフルネスの実践を推奨し、オフィスには瞑想ルームを完備するなどの施策を行いました。
また、Googleは心身と社会的な健康を表す「ウェルビーイング(Well-being)」に着目し、マインドフルネスを活用した独自の能力開発プログラムを実施しています。
国内では、クラウド名刺管理サービスで知られるSansan株式会社が、日本ではじめて社内研修にマインドフルネスを導入。その後、ヤフーやメルカリなどさまざまな企業がマインドフルネスを取り入れはじめました。
マインドフルネスによって期待できる4つのメリット
マインドフルネスを実践すると、以下の4つの効果を期待できます。
- ストレスや不安感をやわらげる
- 集中力がアップする
- 睡眠の質が向上する
- ポジティブな気持ちになれる
①ストレスや不安感をやわらげる
ストレスや不安は、過去や未来の出来事に対して起こる場合も多いものです。
マインドフルネスで「今ここ」に集中することにより、過去・未来に対するストレスや不安をやわらげる効果が期待できます。
実際に、マインドフルネスはメンタルケアとしての有用性に注目が集まっており、医療業界でもビジネス業界でも導入事例が多くあります。
②集中力がアップする
今、この瞬間に集中する訓練を重ねることで、集中力がアップする効果を期待できるでしょう。
雑念に振り回されず、目の前のことに集中する力が育まれることで、仕事や勉強にもプラスに働きます。
③睡眠の質が向上する
マインドフルネスによってストレスや不安感が緩和されれば、睡眠の質が向上する効果を期待できます。ぐっすり眠れるようになれば、身体の健康にもプラスの効果を得られるだけでなく、翌日の仕事のパフォーマンスも向上するでしょう。
④ポジティブな気持ちになれる
マインドフルネスは、ものごとに対する主観を捨て、客観視することを基本としています。実践していると、だんだんと自分自身のなかにあるネガティブな思考に気付き、ポジティブな発想に転換しようという意識が働くでしょう。
また、マインドフルネスには不安感を軽減する効果も期待できるため、なおさらポジティブな気持ちを保ちやすくなります。
マインドフルネスの効果に科学的エビデンスはある?
ハーバード大学では、マインドフルネス瞑想を8週間継続し、脳の影響を調べる実験を行いました。すると、海馬や扁桃体といった、ストレスや不安感に関与する脳の器官にプラスの効果が見られたのです。この実験結果から、マインドフルネスは体感としてだけではなく、脳にも良い影響を与えることが明らかになりました。
また、アメリカのウェイクフォレスト大学医学部では、マインドフルネスと集中力向上の関連性に関する調査を実施。1日20分×4日間、マインドフルネスを実践する時間を設けた結果、集中力が最大1.5倍に向上したと発表しています。
マインドフルネスのやり方 3ステップ
ここからは、マインドフルネスの具体的な実践方法を解説。世界中で広く用いられている、呼吸瞑想をベースとした方法をご紹介します。
STEP1.リラックスしながら姿勢を正す
まずは、椅子や床に楽な姿勢で座りましょう。身体に力を入れず、心身ともにリラックスした状態になることが大切です。そのままゆっくりと背筋を伸ばし、頭から背筋が一直線になるように姿勢を整えます。
STEP2.自分の呼吸に意識を集中する
姿勢が整ったら、目を閉じてゆっくり深呼吸します。身体から空気が出ていく感覚と、入ってくる感覚を丁寧に感じ取り、自分の呼吸に意識を集中しましょう。
STEP3.雑念が浮かんだら呼吸に意識を戻す
瞑想中に雑念が浮かんでしまっても大丈夫。再び自分の呼吸に意識を戻して、深呼吸を繰り返します。雑念が浮かぶ→呼吸に意識を戻すというサイクルを繰り返し行いましょう。
マインドフルネスの効果を高めるコツ
マインドフルネスを高めるには、以下の4つのポイントを押さえることが重要です。
- 「判断」を捨てる
- まずは1ヵ月継続する
- 初心者は1日10分から挑戦する
- 呼吸法を意識する
「判断」を捨てる
マインドフルネスにおける「客観視」とは、自分の状態をあるがままに受け止めることです。自分の状態に対して、「うまくできた・できない」といった評価や判断はしないよう注意しましょう。
自分の状況を客観的に観察して、「集中できない自分」や「雑念が浮かんでいる自分」をそのまま受け入れることが大切です。
まずは1ヵ月継続する
マインドフルネスの効果を実感するためには、習慣化が不可欠。一度実践しただけでは効果を感じられない場合がほとんどなので、まずは続けてみることが大切です。
毎日実践することで、ストレスや不安感の軽減、集中力の向上といったメリットを得やすくなります。まずは1ヵ月を目標に、毎日コツコツ続けてみましょう。
初心者は1日10分から挑戦する
「今、この瞬間」だけに集中しようと思っても、はじめのうちはなかなか難しいもの。
マインドフルネスの状態を維持するためには訓練が必要なので、初心者は1日10分程度からスタートするのがおすすめです。
コツをつかんできたら、だんだんと1回あたりの時間を延ばしてみましょう。
呼吸法を意識する
マインドフルネス瞑想の要は、「呼吸」です。自分の呼吸に意識を集中することで、自分の心をマインドフルネス状態に導くことができます。
マインドフルネスの呼吸法としては腹式呼吸が一般的ですが、「4-7-8呼吸法」という手法もあります。
4-7-8呼吸法とは、まず4秒かけて息を吸い込み、そのまま7秒間息をストップ。そして、8秒間かけて息を吐き出すという方法です。自分に合う呼吸法で、無理なくマインドフルネスを実践しましょう。
マインドフルネスのデメリット・注意点
マインドフルネスにはさまざまなメリットを期待できる一方、いくつかのデメリットやリスクもあります。
マインドフルネスがストレスになる人もいる
マインドフルネス中に雑念が浮かんでしまうと「うまくできないこと」がかえってストレスになってしまう人もいます。「はじめはできなくて当然」と考え、雑念が浮かんだら意識を呼吸に戻すというサイクルを繰り返すことが大切です。
ストレス・不安感が強い人は指導者がいたほうが安心
マインドフルネスを実践するためには、自分自身と向き合う作業が必要です。ストレスや不安を感じている自分も客観的に観察しなければならないため、ストレスや不安があまりに強い場合は、かえって心のバランスを崩してしまうリスクがあります。
特に、心理的に問題を抱えている方や、身体的に制約のある方は、瞑想インストラクターなど専門家の指導のもとでマインドフルネスを実践するのがおすすめです。
厚生労働省が発信する以下のページでは、マインドフルネスを実践するにあたって考慮すべきヒントが掲載されています。
まとめ
マインドフルネスには、「ストレスや不安感の軽減」「集中力の向上」などさまざまなメリットを期待できます。
はじめはすぐに雑念が浮かんでしまうかもしれませんが、その都度、自分の呼吸に意識を戻すというサイクルを繰り返すことで、だんだんとマインドフルネス状態を維持できるようになるでしょう。
また、近年は日本国内でもマインドフルネスを導入する企業が増加しています。マインドフルネスを実践している企業を探してみるのも良いでしょう。