これからの社会を支えていく新しい世代である「Z世代」は、独特な価値観と感性を持つとされています。
従来の会社や仕事に対する考え方などとは逸しており、彼らはどのような働き方を目指しているのか気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、Z世代特有の仕事や生活に対する考え方や、よりよい関係を築いていくうえで必要なことをご紹介します。現在、Z世代と一緒に働いている方や指導する立場にある方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
「Z世代」とは?他の世代との違いを解説
育った環境などによる独自の特徴や価値観から、X世代・ミレニアム世代・Z世代などと分類されています。なかでも注目を浴びているZ世代と他の世代とでは何が違うのか解説します。
ミレニアム世代との違い
1980年代~1990年代中盤に生まれた人を指し、他の世代に比べてネットリテラシーが高い傾向にあります。バブル崩壊前に生まれていることもあり、Z世代と比較して消費に対して積極的な一面も持っています。
一方、Z世代は一般的には1990年代後半から2012年頃に生まれた世代を指します。
Z世代はお金やキャリアに対して保守的な傾向にあり、SNSが深く生活に浸透し人とのつながりやコミュニティを重視する傾向があります。また、SDGs発表を受けて自然との共存を目指す考え方が根付いているのも特徴です。
X世代との違い
X世代とは1960年代~1980年代に生まれた人を指し、大人になってからインターネットやスマートフォンに触れている点がZ世代との大きな違いです。
また、高度経済成長期やバブル期に生まれていることから、物質的な豊かさを重視する傾向もあります。
スキルアップや転職に柔軟な姿勢を持つ点では、Z世代と共通しており、デジタルネイティブではないものの、スマートフォンやタブレットの活用などのデジタル社会に慣れ親しんでいます。
Z世代の仕事に対する価値観
Z世代は全体的に柔軟な考え方を持つ傾向にあり、自身の成長に繋がることやプライベートな時間を重要視する特徴があります。
オンオフのメリハリが重要
仕事と私生活の両立を目指すライフワークバランスを重視する傾向が強いのが特徴です。
特に、時間外労働がない、有給休暇の取得しやすさ、結婚後の待遇など仕事とプライベートでメリハリを持って働きたいと考える人が多い傾向にあります。
男女で差はあるものの、全体的にプライベートな時間を大切にしたいと考える人の割合が多い傾向にありましたが、徐々にキャリア形成を意識した働き方との両立を考える人が増えてきています。
副業や転職に抵抗が少ない
同じ会社に長く勤めるよりも、転職や副業によって自身のスキルアップや経験、キャリアアップに繋がると考えている人が多いのが特徴です。
職場の環境や給料に左右されないフリーランス・副業としての働き方や、今までとは違う職種への挑戦などポジティブな変化を求めている人もいます。
働き方改革の影響もあり、終身雇用が重視されてきた従来と違ったさまざまな働き方が広がっていると考えられます。
ジェンダーレスな考え方
男女間においてキャリア形成などに関する格差に敏感なのも特徴です。女性のキャリアアップを意識した働き方や、家庭に縛られない働き方が浸透しつつあります。
家庭内での夫婦の役割分担の変化が理由の一つでしょう。結婚後に女性は家庭に入るなどの従来の考え方は薄れつつあり、夫婦で協力して分担するスタイルが好まれます。
家庭内での男女格差が少なくなったことから、男女ともに育児休暇取得を希望する割合も高くなっています。
スキルアップに積極的
働き方改革の影響を受けて、社会全体で雇用の流動性が高まっており、Z世代は自身でスキルアップやキャリア形成をしていく必要があると考えている世代です。
また、比較的不景気な時代に育ってきた世代のため、経済的に困窮した環境を経験しています。このことから、日本の先行きや経済の将来性などについて、シビアな考え方を持っていることもキャリアを意識した働き方に繋がっています。
Z世代が求める働き方
Z世代が具体的にどのような職場を求めているのか、どんな働き方を望んでいるのか解説します。
オープンコミュニケーション
スマートフォンやSNSを使った情報収集、人とのつながりや交流に慣れ親しんだZ世代は、自分のことをオープンにしつつコミュニケーションを取ることに慣れています。
そのため、会社や上司ともオープンコミュニケーションを求める傾向が高いのです。
幼少期から身近にスマートフォンなどのデジタルデバイスがあり、なんでも簡単に調べられる環境で育ったため、会社でも上司や先輩に気軽に質問できるオープンな環境を好みます。
プライバシーの尊重
オープンなコミュニケーションに慣れている一方で、個人のプライバシーを尊重する傾向もあります。
特に、SNSでの不用意な投稿や発言がトラブルの原因になることを認識しており、プライバシー保護に細心の注意を払っているのです。
周囲の対応として、オープンコミュニケーションとプライバシーの尊重のバランスを考えることが必要になってきます。
多様な働き方の推進
働き方改革の影響を大きく受けているZ世代には、リモートワークを取り入れる、副業・複業に理解があるなど、多様な働き方に対するポジティブな姿勢が評価されます。
性別や年齢にかかわらず、ライフイベントに合わせた柔軟な働き方を求めており、就職や転職時には働き方改革を推進する会社に注目しているのです。
理不尽なことがない
「会社や上司の命令には従わなければならない」といった従来の考え方は通用しないと思った方がよいでしょう。
コミュニケーションも含めて対等であり、業務内容や評価基準の平等性・合理性が重要です。
実力や貢献度を重視しない不公平な評価や理不尽なルールを嫌がることを念頭に置いた指導や評価が必要になります。
Z世代との向き合い方
実際にZ世代とうまく付き合っていくうえで、注意すべきことがいくつかあります。上司や同僚の立場にある方は、Z世代の特徴に合わせた仕事の仕方やコミュニケーションを大切にしましょう。
個性を尊重する
Z世代は、個性を発揮し、自分らしく働けることを重要視する傾向があります。
他の人や同期などと一括りにせず、個人に合ったカリキュラムや取り組むスピードを意識した指導方法が必要です。
また、社会人としての経験が浅く、ちょっとした失敗から挫折してしまう人もいます。
上司や指導担当者による細やかなフォローで、挫折しても乗り越えられるだけの力をつけさせることから始めましょう。
効率を重視する
業務進行やフィードバックなどで、アナログな手法にこだわり過ぎた非効率な方法は、あまり好印象を与えません。Z世代が慣れ親しんでいるデジタルツールやデバイスなどを使用して効率的な業務を意識するのが重要です。
また、デジタルネイティブの効率的な考え方は、組織全体の生産性を高めることにもつながります。
便利なツールや新しい考え方を取り入れて、組織として業務効率化を目指すことがZ世代との関係性に良い影響を与えるでしょう。
目的や意義を明確にする
目的や意義がはっきりしない業務や指示にコストや自分の時間をかけることに、抵抗が強いのも特徴です。
Z世代に限らず、目的や意義を明確にすると、仕事に対する認識が深まります。
スムーズな業務進行のためにも、Z世代に対する指導・教育と併せて、業務の目的や意義の明確化を図りましょう。
カジュアルなコミュニケーションを取り入れる
仕事の合間やランチ中などの雑談や他愛もない会話は、心理的安全性を高めて質問しやすい関係性をつくります。
また、自分にはない価値観や考え方を尊重し、理解を示すことで、心理的安全性はより高まります。
心理的安全性が高まることでZ世代の特徴である個性の発揮や異なる意見・アイデアの発信がしやすくなるのです。
普段からカジュアルなコミュニケーションを取り入れ、Z世代が話しやすい関係性を築きましょう。
まとめ
Z世代は、仕事や家庭に対する柔軟な考え方や周囲の人とのオープンコミュニケーションが特徴的です。
また、個性やプライバシーの尊重、社会問題への高い意識などによる独特な価値観を持っています。
しかし、これらはあくまで傾向であり、すべてのZ世代が同じ考え方とは限りません。
Z世代に対する柔軟なとらえ方と個人に合ったアプローチやコミュニケーションが必要であり、デジタルネイティブであるZ世代が働きやすい関係性を築いていくことが重要です。