近年、働き方が多様化する社会において注目を集めているのがDEI(DE&I)です。
DEI「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」とは、少子高齢化が進む日本では欠かせない概念になっていくでしょう。当記事では、DEIの概要から必要とされる背景、ターゲットとなる層、働く側が意識することなどを紹介します。
転職をする際に多様化する働き方を受け入れ柔軟に適用していくためにも理解を深めておきましょう。
目次
DEI(DE&I)とは?
DEI(DE&I)とは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの略称です。
それぞれの単語は次の意味を持っています。
ダイバーシティ:多様性
エクイティ:公平性
インクルージョン:包摂性
これまで多くの企業が取り組んできたダイバーシティ・インクルージョンに公平性を加えた働き方の概念です。平等ではなく公平性であることがポイントといえます。
たとえば、高さ2mの壁があり、その前に身長180cmのAさんと、身長160cmのBさん、身長130cmのCさんが立っています。30cmの踏み台を平等に一つずつ渡したとき、Aさんは壁の向こうを見ることが可能ですが、BさんとCさんは高さが足りずまだ見えません。
もう一つ踏み台を追加するとBさんは壁の向こうを確認できますが、Cさんはまだ見えません。3つ目の踏み台を追加してようやくCさんは壁の向こうを確認でき、公平性が生まれました。
平等は個々の状況を考慮せず同じツールやリソースを与えること、公平性は個々の状況に合わせたツールやリソースを用意し、誰もが同じように成果を上げられるようにすることです。
DEI(DE&I)が重要視される背景
現代社会においてDEIが注目され始めた背景を知らない方も多いのではないでしょうか。なぜ今盛んに叫ばれているかは、少子高齢化や利便性の向上、ハンディキャップを抱える人などがかかわってきます。
ここからはDEIが重要視される3つの理由を紹介します。
少子高齢化
近年、日本では少子高齢化が社会的な問題になっています。それに伴い労働人口の不足も企業にとって悩みの種となっているのではないでしょうか。少子高齢化社会において企業が人材を確保するためには、労働者の幅を広げる必要があります。
たとえば、育児や介護でこれまで正社員としては働けなかった層も働き方の多様化を進めることで、時短正社員として働くことが可能です。リモートワークであれば、家庭の様子を見ながら仕事を行えるため、これまで外で働けなかった人も職の幅が広がるでしょう。
労働人口の幅を広げるためには、さまざまな環境条件により働くことを制限されている人たちが働ける柔軟な体制を構築することが必要で、そのためにDEIが注目を集めています。
利便性の向上
コロナ禍をきっかけにネットや各種ITツールが普及したことにより、在宅勤務や遠隔地での共同作業ができるようになりました。そのため、これまで働けなかった人も活躍の場が広がっています。さまざまな働き方が実現できる社会が構築されてきたため、DEIがより注目を集めています。
ハンディキャップを抱えた人も働ける世界を目指しているため
先述したようにDEIはこれまでのダイバーシティ・インクルージョンに公平性が加わったものです。近年、社会の多様化が進む中、一人ひとりの個性や環境、条件に配慮して誰もが公平に働ける環境を整備することが企業に求められています。
これまで労働人口として扱われていた人たちだけではなく、ハンディキャップを抱えてこれまで働けなかった人も同じように働ける環境を整備することが大切です。ハンディキャップを抱えた人たちが働きやすい環境は全体も働きやすい環境であると考えられます。そのため、平等ではなく公平性に注目するDEIが近年重要視されています。
新たに加わった「エクイティ」はどんな人がターゲット?
ここからはダイバーシティー・インクルージョンに加わったエクイティの対象者がどのような方たちを指すのか紹介します。ダイバーシティー・インクルージョンにも関わるターゲットのため、DEIを進める上でしっかり理解しておきましょう。
働く女性
働く女性にとってエクイティは欠かせない概念です。女性は結婚や出産などのライフステージの変化により、フルタイム勤務が難しくなったり、オフィスへの出勤がしにくくなったりするでしょう。また、男性社員と同じように管理職に上がるための能力を伸ばす機会を十分に与えられないこともあります。
エクイティの概念を取り入れることで、業務内で管理職としての能力を伸ばす機会を与えたり、昇格をさせてから業務を通して経験を積んでもらったりと、一人ひとりに合わせた柔軟な対応を実現させることに役立ちます。
障がい者
エクイティは障がい者にとっての働きやすい環境づくりにも大切な考え方です。たとえば、身体的なハンディキャップがある場合はバリアフリーのトイレを設置したり、業務面でも周りがサポートしたりするなど、ハンディキャップのあるなしにかかわらず公平に仕事ができる環境づくりをする必要があります。
エクイティの概念を取り入れた主な取り組みは、業務の幅を増やせるよう広い範囲での技術トレーニングを実施することや、社内の部活動に障害の有無に関係なく参加できるスポーツを取り入れるなどです。
働きたくても働けない人
自身は健康でも家族の介護が必要だったり、家族に障害があり面倒を見る必要があったりする場合、なかなか働きに出にくいこともあるでしょう。企業が在宅勤務やリモートワークを導入することで、家族から目を離せない場合でも自宅で働くことが可能です。
働きたくても働けない人にも企業にとって必要なスキルを持っている人が多くいます。多様な働き方や条件をととのえることで働く機会を均等に与え、可能性を潰さずに済みます。
これからDEIの中で働く際に気をつけたい3つのこと
ここからは、多様性を認め合う社会で意識したい思考や行動を紹介します。社会情勢や社会環境が目まぐるしく変化する現代において、企業だけではなく働く一人ひとりが柔軟なものの見方をすることが大切です。働く側が気をつけておくことを把握し、誰もが働きやすい社会をみんなで作っていきましょう。
固定概念を意識する
多様な働き方を受け入れるためには固定概念を取り除く必要があります。女性は結婚して出産をしたら仕事をやめるべき、親の介護は子どもがするべき、家事や育児は女性がするべきなどこれまでの社会ではさまざまな固定概念が広まっており、一般的な労働人口とは異なる環境や条件下にいる人たちは、なかなか仕事を続けにくい状況でした。
企業が多様な働き方を推進しても、一緒に働く社員たちが理解しサポートを行わなければ環境は良くなりません。これまでの固定概念を取り払い、柔軟な働き方に対する理解が必要です。
人ではなく数値やデータを見る
評価を行うときは、人ではなく数値やデータを見ることも大切です。女性なのに、ハンディキャップがあるのに、などバイアスがかかった状態のままでは正当な評価を受けられません。
また、バイアスによって批判を行う人にとっても精神上良くないと言えるでしょう。そのため、人となりを見る前にまずは目の前の数値やデータによる情報を確認することが大切です。
自分と違う人と関わる場合は一呼吸置く
働き方の多様化が進むと、これまで関わらなかったタイプの人とも仕事をする可能性がでてきます。場合によっては自身と考えが異なり衝突するおそれもあるでしょう。しかし、働き方の幅が広がれば労働人口の幅も広がるため、これまで以上にタイプの異なる人と仕事をする機会は増えていきます。
自身と考えが合わないからと遮断してしまうのではなく、まずはポジティブに新しい出会いをしたと考えてみましょう。自身と考えが異なるということは、これまで自身では発想が湧かなかったアイディアを出してくれる可能性があります。新しい経験を与えてくれるとポジティブな気持ちを持ってコミュニケーションを取りましょう。
まとめ
当記事では、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの概念についてや社会で重要視されている背景、ターゲットとなる層、働く側が気をつけておきたいことなどを紹介しました。
DEIで重要となるのは公平性です。一人ひとりの個性や環境、条件に配慮して、誰もが同じように働ける仕組みづくりが、今社会で必要とされています。また、企業側が取り組むだけではなく働く人々も多様化する働き方や公平性の仕組みについて柔軟な考えをもつ必要があります。
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