SDGsの発表や日本で推進されている働き方改革によって多様性が重視される社会へと移り変わり、働き方に関する認識は個人・企業問わず変化し続けています。
SDGsと働き方改革は密接な関係にあるとされていますが、それぞれを推進することでどのような効果があるのでしょうか。
SDGsと働き方改革の関係や取り組むことで得られるメリットについて、個人・企業それぞれの立場別に解説します。
目次
「SDGs」ってなに?
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年に国連サミットで採択された持続的な国際目標です。資源不足、貧困問題など世界中で起きている問題を世界各国が解決に協力することで、よりよい社会を実現することを目的としています。
SDGsは、17の目標と達成するための169のターゲットで構成されており、「誰ひとり取り残さない」という共通理念を持っています。
SDGs「17の目標」
SDGsにおいて、世界で抱えている課題を解決するために決められた17の目標は次のとおりです。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsと働き方改革の関係
SDGsと働き方改革はとても密接な関係にあるとされており、SDGsの17の目標のうち、以下の3つの目標と関係が深いと考えられています。
- SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」
- SDGs8「働きがいも経済成長も」
- SDGs10「人や国の不平等をなくそう」
それぞれが働き方改革とどのように関係し、貢献することでどのような効果を生み出すのかを解説します。
SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」
日本では、男女の給与格差や要職への女性登用率の低さなどの課題を今もなお抱えています。一方で、女性は管理職になれないのではなく、「なりたくない」という側面も存在します。
残業や無駄な会議などをなくすことでプライベートの時間を確保し、自分らしい働き方とペースで効率よく仕事ができる環境づくりなどの働き方改革が推進されるなら、管理職を目指す女性も増えるでしょう。また、キャリアアップを目指す女性が増え、男女格差が埋まることによって、SDGs5に貢献することにつながります。
SDGs8「働きがいも経済成長も」
「働きがい」を軽視されている仕事も少なからず存在し、さまざまな問題を引き起こしています。個人の充実が満たされていない職場の存在によって、国の経済成長も著しく阻害されているのです。
SDGs8に貢献するには、長時間労働の解消やワークライフバランスの向上といった働き方改革に対する取り組みが必要になります。
SDGs10「人や国の不平等をなくそう」
国籍や性別、年齢、価値観などに囚われない雇用体系やすべての人が活躍できる環境の構築が必要とされています。
日本では、働き方改革の影響を受けて男女の雇用機会均等、障害者雇用の増加などの取り組みを行なう企業が増えてきています。
SDGsに取り組むメリット~個人編~
企業や団体だけでなく、個人でもSDGsに十分貢献できます。個人がSDGsに取り組むことで得られるメリットについて解説します。
人生が充実する
企業の働き方改革推進を個人としても意識し、声を上げて行動することで、職場環境はより効率的に改善され、働く人たちのモチベーションが上がっていき、さらに改革が推進される良い循環が生み出されます。
DX(Digital Transformation)の推進などによって効率的な働き方が実現すれば、プライベートの時間が増えて、資格取得やスキルアップのための勉強をしたり、趣味や家族サービス、他のSDGsにかかわる活動にも時間を割くことができるようになります。
企業任せにするだけでなく、個人でもしっかりと意識していくことで人生の充実につながるのです。
人脈が広がる
サークルやボランティア団体などでSDGsに関連する活動に参加することで、自分にはない考え方やSDGsに取り組んでいる人との交流を深められます。
人脈を広げ、さまざまな見方や考え方に触れることは自身の成長につながり、ビジネスにおいても活用できるでしょう。最終的には前述した「人生の充実」にも良い影響をもたらすことが考えられます。
自身の成長や価値観・視野が広がる
SDGsの目標に向けて集団で行動を起こすことは、協調性や自主性などが必要であり、あらゆる面での自身の成長が期待できます。
さまざまな理由からSDGsに取り組んでいる人とコミュニケーションを取っていくなかで、自分とは違う価値観や一つの物事に対する多様な見方によって、以前の自分よりも遥かに視野を広げられるでしょう。
キャリアアップやキャリア形成を意識した働き方ができる
SDGsの目標には、すべての人の平等な雇用や技術的・職業的スキルなどの必要な技能を持つ人の増加、ICT(Information and Communication Technology)などの実現技術の活用強化などが掲げられており、働き方改革に直結する内容でもあります。
SDGsに個人でも取り組むことは、働き方改革を推進することにもつながり、自分らしい生活や多様な働き方によって、質の高いキャリア形成を意識した働き方、キャリアアップに必要なスキル・資格の取得などに時間を有効活用することができます。
SDGsに取り組むメリット~企業編~
働き方改革だけに留まらず、SDGsを意識した取り組みの推進が求められています。
企業のイメージアップ・ブランディングに寄与
SDGsに積極的に取り組むことで、企業としてポジティブなイメージを持ってもらえるようになり、ブランディングにも寄与するでしょう。
たとえば「花王」は、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」に取り組み、プラスチックの削減を目指しています。また、日本コカ・コーラでは「2025年までに女性管理職比率を50%にする」「男性の育児休業・休暇取得率を100%にする」「30代の管理職比率を15%にする」を目標として掲げ、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に取り組んでいます。
採用面での注目度の向上はもちろん、年収の高い層ほどSDGsなどの社会貢献に対する関心が強い傾向にあるため、優秀な人材が多く集まることに期待できるのです。
また、SDGs推進と内容発信による人材確保を目指すことで、昨今の労働人口減少にかかわる問題解決にもつながります。
新たなビジネスチャンスの獲得
SDGsの各目標に関して問題解決のための新事業への取り組みやSDGsに積極的に取り組む他企業との協働によって新たなビジネスチャンスの獲得が期待できます。
また、SDGsに取り組んでいる企業として貢献する内容を発信することで、自社の製品やサービスへのイメージアップになるでしょう。
職業環境の改善
SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」などの働き方改革にも関係する目標を推進することで、より多くの人が働きやすい職場環境を構築できます。
職場環境が改善されると、従業員のモチベーションアップに結びつき、離職率の低下や離職防止による人材コストの抑制にもなるのです。
業務効率化
SDGs8「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディセント・ワーク)を促進する」という概要は働き方改革と直結しており、多くの企業に業務効率化が求められています。
業務効率化に取り組むことは、テレワークなどの新しい働き方の導入や労働時間短縮などの働き方改革を推進することにつながり、企業・個人どちらにとっても大きなメリットとなるでしょう。
身近にある「働き方改革」推進がSDGs貢献につながる
世界規模で問題に取り組むSDGsは、一見個人にはあまり関係ないように思われがちですが、自分たちのワークライフバランスをより向上させる目標が多く含まれています。
SDGsの取り組みは難しいものではなく、身近にある働き方改革と深い関係にあり、個人でも働き方改革を意識した行動を取ることでSDGsへの貢献につながるのです。
このように、社会全体において多様性が重視されつつあるなかで転職・副業を探すにあたって、自分ならではのスキルを活かすことは強みの一つとなるでしょう。