ここ数年間で「リモートワーク」という言葉を聞く機会が増えましたね。すでにリモートワークで働いている人もいれば、これからリモートワークで働いてみたいと考えている人もいるかもしれません。
この特集では、前職で毎日出社して働いていた筆者が、コロナ禍の転職活動を経て、現職で「リモートワーク」となった働き方の変化についてお伝えします。この記事を読むことで、実際にリモートワークを導入するきっかけとなりましたら幸いです。
目次
リモートワークとは?
オフィスに出社せずに、会社以外の場所で業務を行うことを「リモートワーク」と呼びます。リモートワークは、Remote(遠隔)でWork(仕事する)ことを意味する造語です。
メール、チャット、インターネットを利用したオンライン会議ツールなどを用いることにより、遠隔で業務を行う場合でも会社のデスクにいるようにやりとりできる点が特徴です。手元にパソコンがありインターネット環境が整っていれば業務を進められるため、IT系、メーカー、広告業をはじめ、多くの業種で導入されています。
リモートワークが広まった理由
新型コロナウイルスの感染拡大
感染リスクとして挙げられる通勤時の満員電車による密や、出社による密を避けることにより、感染拡大を抑えることができます。
2020年3月以降、感染症対策の一環として多くの企業がリモートワークの環境を整備し、その後に発令された緊急事態宣言以降、リモートワークを導入する企業はさらに増加しました。リモートワークという言葉自体も、コロナ禍を境に耳にすることが多くなりました。
働き方改革の推進
政府が推進している「働き方改革」では、雇用形態の多様化とワークライフバランスの実現にあたって、リモートワークがその取り組みのひとつとして挙げられています。ワークライフバランスとは「仕事と生活の調和がとれた状態」のことを指します。
リモートワークの場合、通勤時間の短縮・在宅時間の延長によってワークライフバランスが実現しやすいと言われています。趣味に充てる時間や家族と過ごす時間を増やすことが可能になり、福利厚生の面からもリモートワークが広まったと考えられます。
労働人口の減少
従来は、子育てや介護などの事情によって会社を辞めるか休職するか、しか選択肢がありませんでしたが、インターネットの普及によりオフィスに居なくても働くことができるようになり、働き方の選択肢が増えました。
場所を問わない働き方により、離職率を下げる・新たな労働力の創出が期待できることから、採用活動を行う際に「リモートワーク」での求人掲載をしたり、入社後にリモートワークを選択できるように制度を整えたりする企業が増えました。
コスト削減
リモートワークを導入することで様々なコストカットを狙えることも、要因の1つと考えられます。例えば紙での資料のやりとりが減ることにより、消耗品費用をはじめ、印刷代や印刷用紙代をカットすることができますし、通勤しなくなったことにより通勤交通費の削減にも繋がります。
また、出社人数が減ることにより、オフィス家賃のコストカット削減や電気代の節約を実現した企業も出てきました。
前職/現職の一日の流れ
次に、実際にリモートワークになったことで変化した1日の流れを比較して見ていきましょう。
前職では
7:30 起床
8:30 家を出る
10:00 始業
13:00前後 休憩
19:00以降 退社
20:30 帰宅
現職では
8:30 起床
9:00 始業
14:00 休憩
18:00以降 退勤
前職の場合は、起床から始業まで・退社から帰宅までそれぞれ2時間程度かかっていましたが、現職ではその通勤時間がなくなったために拘束時間が大幅に少なくなり、仕事以外の時間に充てられるようになりました。
導入後の変化や気づき
リモートワークで働き始めてからの変化や気づきについて、業務とそれ以外とに分けてご紹介していきます。
業務面での変化
業務を行うにあたって、リモートワークになってから「変わった」と感じたことを挙げてみました。
- 無駄なやりとりが減少した
コミュニケーションツールの slackを活用し、必要最低限のやり取りを行うことにより、自分のペースで仕事ができるようになりました。
- 資料をインターネット上で共有
オンライン上で資料やファイルを保存することにより、会社から離れていても同時に作業・編集することもできるため便利だと実感しました。また、紙でのやりとりが減ったため、印刷代や印刷用紙代をカットすることができ、資源削減にも繋がりました。
紙でのやりとりからオンラインでのやりとりに変わったことで、パソコンひとつで全てが完結するようになったことがとても大きな変化でした。打ち合わせに際して、資料を準備したり印刷したりする手間が省けたことがよかったと思います。
業務面以外での変化
次に、業務以外の面で変化したと感じた例を挙げていきたいと思います。
- 通勤時間を気にしなくてよい
通勤・帰宅ラッシュに巻き込まれることがないために、時間を有効活用することができました。リモートワークを機に、趣味などの新しいことにチャレンジするようになりました。
- 準備に時間をかけなくてよい
出社をすることでしっかりと化粧をしなければならなかったのですが、リモートワークの場合、必要最低限の化粧で済むために準備時間の短縮に繋がりました。
- 適度に休憩をとれる
前職では、同僚の目があるから休憩を取りづらいと感じていたのですが、今は適度にリフレッシュができています。小腹が空いたときにはブレイクタイムを取るようにしています。(食べ過ぎ注意!)
リモートワーク最大の特徴である「家で仕事をする」ことが大きなメリットだと感じました。通勤ラッシュに巻き込まれることもなくなったため、趣味の時間に充てたり、有意義に時間を使えるようになりました。
気づき、気をつけていること
リモートワークでの勤務になったことで、気づいた点、気をつけている点をお伝えします。
- コミュニケーションを積極的にとる
社内だとすぐに話すことができますが、リモートワークになるとお互いに会話をする機会が減少するために、インターネット上で繋がっている環境とはいえ中々コミュニケーションを取ることが難しいと感じます。そのため、共有事項があれば逐一連絡するように心がけています。
- 仕事とプライベートのメリハリをつける
リモートワークだと自宅で作業をすることになるため、仕事とプライベートの切り替えを意図的に行う必要があります。パソコンデスクやライトを設置して、作業環境を整えることが効果的だと感じました。
- タスクを可視化しておく
リモートワークの場合は、業務効率低下の恐れがあるため、自分がその日やるべきことをリストアップするなどtodoを決めておくのが良いと思いました。タスク管理に対する意識を持っておくことをオススメします。
- 適度に休憩を取る
誰もいない環境だと、集中しすぎてしまうことがあるため、適度に休憩をとったり、水分補給を行うように気をつけています。
リモートワークになって感じたのは、便利なことも多いがその分自己管理能力が求められるということです。タスク管理はもちろん、時間管理、モチベーションの管理など、セルフマネジメントの力が必要になると感じました。
リモートワークのメリット/デメリット
ここまで筆者がリモートワークでの勤務になったことで感じたいろいろな変化についてお伝えしてきましたが、一般的に言われているメリット・デメリットについても触れておきたいと思います。
メリット
- ワークライフバランスを実現しやすい
- 働く場所をシフトすることでリフレッシュできる
- 服装や化粧などの準備時間が少なくて済む
デメリット
- 互いの表情が見えづらいため、伝え方を意識する必要がある
- わからないことがあったときに直接誰かに聞けない
- 自己管理能力がより求められる
- 運動不足になる
上記のように、メリットとデメリットが挙げられますので、それぞれを正しく認識し、リモートワークに対する業務の効率化やタスク管理の意識を持つことで、理想的な働き方を実現できるようになるでしょう。
リモートワークを導入するにあたって気を付けるべきこと
最後に、今後法人単位でリモートワークを導入検討している方に向けて、会社として必要な対応についてご紹介したいと思います。
セキュリティ対策
リモートワークによって、情報漏洩、端末の紛失や盗難、通信環境などの情報セキュリティリスクが増大します。企業によっては、自宅だけではなくカフェなどのパブリックスペースでの業務遂行を許可する場合もあるでしょう。それにより、パソコンの盗難や紛失、第三者から覗き見されるリスク、フリーWi-Fi利用による情報漏えいの危険性も考えられます。
会社からPCを貸与したり、許可されたデバイスのみパソコンに接続できるようにしたり、端末の利用状況をチェックする仕組みを作っておく必要があります。
長時間労働対策
オフィスから物理的に離れた場所で働くため労働時間の管理が弱くなり、過労の危険を招く可能性があると指摘されています。リモートワークはオンオフの境目がなくなりやすいことから、隠れ残業の発生も考えられるためです。
厚生労働省によるリモートワーク(テレワーク)ガイドラインでは、システムへのアクセス制限や、時間外・休日・深夜労働の原則禁止などが長時間労働を防ぐ対策として挙げられています。
就業規則のルール、勤怠管理の整備
厚生労働省が公開しているリモートワークについての就業規則のガイドラインでは、出社での勤務とリモートワークでの勤務において、労働条件が同じである場合は就業規則を変更しなくても問題ないと記載されています。
しかし、リモートワークは自宅が勤務地となるため、仕事とプライベートの区別がつきにくくなります。労働時間や経費に関することは、注意をして就業規則に盛り込む必要があるでしょう。勤怠管理についてはタイムカードではなく、オンラインでできる勤怠管理システムを導入するのが好ましいです。
リモートワークを運用するにあたり、法的に義務付けられた手続きはありません。その分、会社の中で混乱が起きないようにしっかりとルールを整備し、運用を行うことが必要です。マニュアルやガイドラインを作成したら、社内で読み合わせを行うなど、従業員全員がルールを把握するようにしておくのが好ましいです。
リモートワークのすすめ
ここまで筆者の体験エピソードを交えて、リモートワークについてお伝えしました。
筆者は入社して1週間後にリモートワークへと切り替わりました。ハード面、ソフト面ともにリモートワークができる環境自体は整っていましたが、前職では出社での勤務だったためリモートワークの経験はなく、支障なく業務が進められるのかという不安がありました。
しかし、業務で使用する資料はオンラインで作成・保管をし、チャットツールを使って必要なやりとりを行うことで、離れていても「近くにいる」感覚で不便を感じることなく仕事をこなすことができました。リモートワークで業務を行うことで、自分自身の働くことに対する考えを見直すきっかけにもなりました。
世界における働き方の概念が日々変化していくなかで、新しい働き方の代表格であるリモートワークは、仕事とプライベートのオンオフをしっかりと切り替えられる自己管理能力がより一層求められるでしょう。