働き方の多様化により、新たなキャリア形成の手段としてパラレルキャリアという働き方を選択される方が増えています。パラレルキャリアは「本業とは別に余暇の時間を活用して別のキャリアを形成する」方法として注目されています。

本記事では、パラレルキャリアの概要をはじめ、副業との違いや、実践するメリットや注意点を詳しくご紹介します。これから本業とは別の仕事をはじめたいと検討している方やキャリアアップの方法を模索している方はぜひ参考にしてください。
目次
パラレルキャリアとは

パラレルキャリアとは、本業を持ちながら別の仕事をする働き方です。通常、一つの主要な職業を持ちながら、別の職業や業務を副業やサイドビジネスとして展開するのが特徴です。
パラレルキャリアは、報酬の有無にかかわらず、本業と並行して人生を豊かにする活動に取り組む働き方です。そのため、非営利目的のボランティアや趣味の活動などを含みます。複数の職責や立場を持ち、仕事をすることで本業以外の別のキャリアを築くことを目的としています。
パラレルキャリアの3つの種類
パラレルキャリアには、大きく分けて次の3つのタイプがあります。
分類 | 概要 | どのような人に向いているか |
ベーススキルアップ型 | 本業と近い業界や職種でできることをさらに拡大する方法 | 現状のスキルを活用して、さらに業種や職種の幅を広げたい方 |
新たなキャリア開発型 | 現在の仕事ではできないことに副業としてチャレンジする方法 | 今のスキルを活用しつつ、新しいことにもチャレンジしたい方 |
自己実現追求型 | 本業とはまったく異なる働き方をする方法。ボランティアや趣味などの活動を含む | 自分のやりたいことが明確に決まっている方 |
実際は上記3つのタイプのいずれかにはっきりと分類されるわけではなく、それぞれが重なり合う複合型も多く存在するのが特徴です。
政府も多様なキャリア形成を図る「副業」を推進しており、その影響から副業を解禁する企業が増えてきています。これからパラレルキャリアに挑戦したいとお考えの方は、本業以外でどのようにキャリア形成をしていくかを具体的に考えていきましょう。
副業との違い
パラレルキャリアと副業の違いは次のとおりです。
パラレルキャリア | 副業 | |
目的 | キャリア開拓 | 収入増 |
特徴 | 本業とまったく関係のない仕事もある | 本業から得た能力を活かして仕事をする |
本業との比重 | 複数のキャリアを同じ比重で持つ場合もある | あくまでも本業がメインである |
パラレルキャリアが、キャリアの開拓を主な目的とするのに対し、副業は収入を増やすことを目的に行われます。
パラレルキャリアは、別名「複業」と表現されるように、それぞれの仕事をメインとサブに分類せずに、同じウエイトで取り組むケースが多くあります。一方で、副業は本業に対するサイドビジネスを指し、スキルアップや自己実現を必須としないのが特徴です。
パラレルキャリアが広まっている理由

パラレルキャリアが日本をはじめ、全世界的に広まっている理由は、おもに次の2つが挙げられます。
- ワークスタイルの変化
- 企業寿命の変化
2つの内容について詳しくみていきましょう。
ワークスタイルの変化
人生100年時代を迎え、働き方に対する価値観や人生観が大きく変化しています。これまで当たり前だった終身雇用や年功序列といった概念が希薄となり、ワークスタイルの多様化が進んだことで、パラレルキャリアという新しい働き方が浸透しているのです。
9時から17時勤務のようなフルタイムジョブに捉われず、自分の時間を自由に使いたいという需要が高まっています。複数の仕事やプロジェクトを組み合わせられるパラレルキャリアは、自己実現や充実感を得ながら働けるのが特徴です。
企業寿命の変化
企業寿命が短命化していることも、パラレルキャリアが注目されている理由です。現代のビジネス環境では企業の寿命が短くなり、定年退職を迎える前に企業が倒産してしまうケースも少なくありません。
パラレルキャリアをはじめるメリット

パラレルキャリアをはじめるメリットは次の通りです。
- 自分のやりたいことを見つけられる
- スキルや経験を積めて視野や人脈が広がる
- マネジメントスキルが身に付く
上記3つの詳しい内容についてご紹介しましょう。
自分のやりたいことを見つけられる
パラレルキャリアで本業ではできなかった仕事に就けることで、自分の興味や情熱に基づいた仕事や活動を見つけられるのが大きなメリットです。
複数の異なるキャリアを経験することで、それまで気付かなかった自分の好きな分野や適性を発見して、本当にやりたいことや天職を発見できるかもしれません。パラレルキャリアは自己成長や自己実現のための手段であり、より充実感のある人生を追求するきっかけとなるでしょう。
スキルや経験を積めて視野や人脈が広がる
パラレルキャリアを通して複数のキャリアを経験することで、多様なスキルや経験を積めます。それぞれのキャリアで得た知識やスキルは相互に補完しあい、多角的な視野を持つことに繋がります。
さらに、複数のキャリアを通じて人脈が広がることも大きなメリットです。異なる業界やコミュニティでの繋がりを持つことで、新たなビジネスやキャリアの機会が生まれるでしょう。
マネジメントスキルが身に付く
パラレルキャリアを追求することで、自身の時間やリソースを効果的に管理するスキルが身に付きます。複数の仕事やプロジェクトを同時に遂行するためには、計画性や優先順位の設定、タスク管理などのマネジメントスキルが必要です。
これらのマネジメントスキルは、キャリア形成をするうえで貴重な財産となるでしょう。
パラレルキャリアの注意点

メリットの多いパラレルキャリアですが、次のような注意点もあります。
- 勤め先の就業規則を確認する
- 時間や金銭管理を行う必要がある
- 目的を明確にしないとうまくいかない
これらの気をつけるポイントについて詳しく解説します。
勤め先の就業規則を確認する
副業を解禁する企業が増えている一方で、副業を禁止している企業もまだまだ多く存在します。そのため、パラレルキャリアをスタートする際は、まずは勤め先の就業規則を確認してください。
たとえ、副業を認めている企業であったとしても、セキュリティや情報漏洩の観点から同業他社の副業を禁止しているケースもあります。
雇用契約や労働法に違反しないためにも、まずは本業の勤め先との関係を明確にする必要があります。就業規則に違反せずにパラレルキャリアを行う方法や、必要な手続きについて理解しましょう。自分で判断できない場合は、上司や人事担当者に相談してください。
時間や金銭管理を行う必要がある
パラレルキャリアで複数の仕事やプロジェクトを同時にこなすためには、時間や金銭管理を行う必要があります。
限られた時間を効率的に活用できるよう計画し、タスクの優先順位を立てなければなりません。また、複数の収入源や支出がある場合、収支管理はもちろん、税金対策も必要です。
問題やトラブルを最小限に抑えるためにも、短時間や少ないタスクからスタートするなどして、自分に合った働き方を探していきましょう。
目的を明確にしないとうまくいかない
パラレルキャリアを成功させるためには、明確な目的を持つ必要があります。なぜパラレルキャリアをはじめるのか、そしてどのような目標や成果を得たいのかをはっきりさせることで、パラレルキャリアに取り組むうえでの動機づけや方向性を見出すことができるでしょう。
自分なりの目標を立てて取り組まないと、結果が出ずに中途半端に終わってしまいます。目標を立てるだけでなく、自己管理も徹底して、本業とパラレルキャリアのバランスを保っていきましょう。
まとめ

パラレルキャリアは、必ずしも収入が得られる活動ではないものの、パラレルキャリアだからこそ得られる知識やスキル、経験、そして今後のワークスタイルの確立など、将来の自分にとって大きな財産として役立つものとなるはずです。
新しい働き方に興味がある方や理想のキャリアプランの実現に向けて行動を起こしたい方は、本業とは別の活動に挑戦してみましょう。