「インフォーマルコミュニケーション」とは、普段の業務とは別に、社内で偶然会った人との気軽な雑談などを意味します。仕事に関する会話以外は意味がないと考える方もいるかもしれません。しかし、インフォーマルコミュニケーションには人間関係の良化やアイデア創出のきっかけになるなどのメリットがあります。
本記事では、インフォーマルコミュニケーションの意味やメリット、促進する方法などを解説します。インフォーマルコミュニケーションを取り入れようと考えている方はぜひ、参考にしてみてください。
目次
インフォーマルコミュニケーションとは?
仕事中の雑談や休憩時間、社内イベントや飲み会、帰り道などでの会話がインフォーマルコミュニケーションに該当します。
インフォーマルコミュニケーションと対比する言葉として、フォーマルコミュニケーションがあります。フォーマルコミュニケーションは仕事に関係のある会話のことです。フォーマルコミュニケーションの具体例には、会議や業務報告、討論会などがあります。
インフォーマルコミュニケーションは業務以外の会話、フォーマルコミュニケーションは業務に必要な会話を意味します。
インフォーマルコミュニケーションのメリットとは?
インフォーマルコミュニケーションのメリットには以下の3つがあげられます。
- 従業員同士の交流が活発になる
- 従業員のメンタルケアにつながる
- 解決策やアイデアが生まれる場合がある
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
従業員同士の交流が活発になる
インフォーマルコミュニケーションにより従業員同士の交流が増えるのがメリットの一つです。仕事の会話だけでは堅苦しくなりがちですが、雑談により仕事以外の話ができるため、お互いに親近感がわき、人間関係も良好になるでしょう。
上司と部下の関係でも日常的に雑談を取り入れれば気軽に会話できるようになり、部下からの報告・連絡・相談もしやすくなります。部署内や組織にも一体感が生まれるでしょう。
従業員のメンタルケアにつながる
インフォーマルコミュニケーションを取り入れれば、従業員のメンタルケアにもつながります。令和3年の「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況によると「仕事や職業生活に強いストレスになっていると感じる事柄がある」と回答している人は、全体の53.3%でした。
ストレス対象の上位3つは「仕事の量」「仕事の質」「仕事上の失敗、責任の発生等」です。従業員同士が気軽に雑談できる雰囲気があれば、自分が抱えている悩みも相談しやすくなり、気軽な会話によりストレス発散できるため、結果的にメンタルケアにつながります。
解決策やアイデアが生まれる場合がある
堅苦しい場では浮かんでこなかったアイデアも、リラックスした雑談により浮かんだり解決策がもたらされたりします。アイデアはリラックスした状態のほうが生まれやすいからです。
また、会議などの場では自分のアイデアを発言しにくい場合も、雑談の場であれば話せる可能性もあります。
インフォーマルコミュニケーションの促進アイデア例
インフォーマルコミュニケーションの促進アイデアの例として、以下の3つがあげられます。
- マグネットスペースの設置
- デスクの配置を変更する
- フリーアドレス制の導入
ここではそれぞれの詳細を解説します。
マグネットスペースの設置
マグネットスペースは、磁石のように人が自然に集まりやすい場所のことです。コピー機周辺や自販機周辺などがあります。
マグネットスペースに椅子や机を用意すれば、自然に会話できる空間が作れるでしょう。また、自主的にオフィスカフェや休憩スペースなどを設置する方法もあります。
デスクの配置を変更する
デスクの配置を変えることでインフォーマルコミュニケーションを促進する方法もあります。例えば、デスクを対面ではなく横並びにすればお互いの距離が近くなり、会話が生まれます。
また、背面を向かい合わせにした「背面式レイアウト」もおすすめです。背面式レイアウトはお互いの視線を感じず仕事に集中できるだけでなく、距離が近いためコミュニケーションも取りやすくなります。
フリーアドレス制の導入
フリーアドレス制とは座る席を固定せず、自由な席を選んで仕事できるスタイルのことです。場所が定まっていると、業務中は隣の人や前の人など、近くの席の人としか話せません。
フリーアドレス制では場所が定まっていないため、毎日いろいろな人との交流が生まれる可能性があります。また、チーム同士で近くに座れば報告や連絡もしやすくなるでしょう。
コロナ禍によるコミュニケーション変化
以前よりは減ってはいるものの、コロナ禍によりテレワークが増えたことで、コミュニケーション不足が発生しています。
「在宅勤務者3,000人に聞く「テレワークのコミュニケーション」調査」によると、テレワークによりコミュニケーションがしにくいと考えている人は5割を超えています。
また、テレワークによる「職場の人との関係性変化」では「何をしているのかわかりにくい」「話さない人が増えた」と回答している人は6割を超えました。テレワークを続けているなら、人間関係を良好にするためにもインフォーマルコミュニケーションが取れる環境を作る必要があるでしょう。
テレワークでインフォーマルコミュニケーションを促進するには?
テレワークでは、なかなかインフォーマルコミュニケーションは生まれないため、積極的に取り入れる姿勢が重要です。テレワークにおける、インフォーマルコミュニケーションの促進方法には以下の4つがあげられます。
- 雑談専用のチャットルームを作成
- 雑談タイムを設ける
- 1on1ミーティングの導入
- オンライン飲み会やランチの実施
それぞれの詳細をみていきましょう。
雑談専用のチャットルームを作成
テレワークにビジネスチャットを利用している企業も多いと思います。その場合には、仕事以外に会話ができるルームを作るのがおすすめです。
雑談目的のルームでは気軽にアイデアを出しあったりプライベートな話をしたりできます。また、質問も気軽にできるため、悩みや不安に思っていることも相談しやすくなるでしょう。結果として従業員同士の交流が増え、仕事の活性化にもつながります。
雑談タイムを設ける
雑談タイムを設けて業務外の内容を話せる環境を作れば、テレワークでも社員同士の信頼関係が築きやすくなります。例えば、会議の前に雑談タイムを取り入れるのも方法の一つです。
また、一日のうちの決まった時間に雑談タイムを作るのもおすすめします。時間を定めないとだらだらと雑談が続いてしまう可能性もあるため、必ず時間を設定しましょう。
1on1ミーティングの導入
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で面談することをいいます。1on1ミーティングは対面で行なわれてきましたが、オンラインでも可能です。1on1ミーティングにより部下のちょっとした変化に気付けたり、部下が相談しやすい雰囲気が作れたりします。
しかし、堅苦しい雰囲気で1on1ミーティングを行なってしまうと意味がありません。1on1ミーティングでは仕事の話だけでなく、雑談をしながら会話するのがポイントです。
オンライン飲み会やランチの実施
出社していれば、昼時に仲のいい社員同士でランチに行ったり飲み会を開催したりできます。しかし、テレワークでは一人ひとりが家にいるため飲み会などを開催しにくく、自然にコミュニケーションも少なくなります。
そのような場合におすすめなのがオンライン飲み会やランチの実施です。オンラインでランチや飲み会を行なえば、顔を見ながら気軽にコミュニケーションが取れます。また、オンラインの性質上、自由に入退場できるのもメリットです。
まとめ
仕事上で関係のない話をすることは非効率だと考える方もいるかもしれません。しかし、インフォーマルコミュニケーションは、従業員同士の人間関係が良好になったりメンタルケアにつながったりとメリットを多く得られます。
最近では、テレワークが増えたことによりストレスを抱えている社員が増えているのが実状です。テレワークが多いなら、積極的に雑談する機会を設ける必要があるでしょう。日頃からコミュニケーションがうまく取れないと考えている方は、今回紹介したアイデアを参考に、インフォーマルコミュニケーションを取り入れてみてください。