「こころの健康」という意味を持つ「メンタルヘルス」は、私たちが快適に生活し、仕事において成果を出すために必要不可欠な要素の一つです。
本記事では、自分でメンタルヘルスをケアする方法、いわゆる「セルフケア」に焦点を当てて、日常生活のストレスにどのように対処すべきか、そしてそれがどのように全体的な健康と生産性に影響を与えるかについてご紹介します。
仕事によるストレスにお悩みの方やストレスとの上手な向き合い方を模索している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
こころを守る、「セルフケア」
メンタルヘルスとは、精神的な健康状態を指す用語で、身体の健康ではなく、こころの健康状態を意味します。
一方で、セルフケアとは、自分で行なうメンタルヘルス対策のことです。症状が軽いうちから対策することで、こころの健康を守ることにつながると考えられています。
どんなにポジティブな人でも気持ちが沈んだり、落ち込んだりすることはあり、日々の生活でストレスを感じることも少なくないでしょう。沈んだ気分やストレスが続いてしまうと、こころの調子をくずしてしまう原因となります。
さらにこころの不調は、メンタルヘルスに関する知識がないと気付かないケースがほとんどで、周囲の人に気付かれにくいのが特徴です。自分からも伝えづらいため、回復に時間がかかってしまうケースもあります。
具体的なストレス反応
メンタルの不調で起こりやすい具体的なストレス反応は、主に「身体的」「精神的」そして「行動面」の3つです。
身体的なストレス反応
身体的なストレス反応には、次のようなものがあります。
- 肩こり
- 頭痛
- だるさ
- 睡眠の問題(寝起きの悪さ、寝つきが悪いほか)
- 食事の問題(食欲不振、過食ほか)
- 発汗
- 依存傾向(アルコール、カフェイン、喫煙ほか)など
精神的なストレス反応
精神的なストレス反応には、次のようなものがあります。
- 無気力感
- 集中力の欠如
- ネガティブな感情(イライラ、不安、怒り)の増加
- 自責的な考えなど
行動面でのストレス反応
行動面におけるストレス反応には、次のようなものが挙げられます。
- 遅刻や欠勤の増加
- 仕事におけるミスの増加
- 以前よりも人付き合いが悪くなる
- 攻撃的な言動の増加など
ご紹介したストレス反応が2週間から1ヵ月以上続く場合は要注意と考え、早急に対処する必要があります。
メンタルヘルスの重要性 どんなトラブルが起こる?
メンタルヘルスのセルフケアの実践が重要である3つの理由は次のとおりです。
- 生産性の低下の防止
- やる気やモチベーションの向上
- ミスやトラブルを回避するリスクマネジメントにも効果あり
それぞれの内容について詳しく解説します。
生産性の低下の防止
メンタルヘルスが不調になると、仕事に対する根気がなくなったり、判断力がなくなったりと、本来の業務遂行能力を発揮できなくなります。その結果として、生産性が低下するリスクが高まるのです。
遅刻や欠勤の日数が増えてしまい、休職を余儀なくされるケースも少なくありません。最悪の場合、離職やうつ病につながる可能性もあるため十分注意しなければなりません。
やる気やモチベーションの向上
メンタルヘルスを高めることで、従業員のやる気やモチベーションの向上にも大きく寄与します。どのような仕事に対しても前向きに取り組めるようになり、ワークモチベーションを維持でき、生産性や活力の向上につながるでしょう。
ミスやトラブルを回避するリスクマネジメントにも効果あり
メンタルヘルスが不調になると、集中力や注意力が散漫になってしまい、ミスやトラブルを引き起こしやすくなります。取り返しのつかない事態を回避するためにも、日頃からセルフケアを実践することが大切です。
今日からはじめる、セルフケアの方法と手順
ここからは、誰でも気軽に始められる「セルフケア」の方法と手順についてご紹介しましょう。
マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、過去や未来ではなく、現在の瞬間に集中することを目的とした瞑想のことです。マインドフルネス瞑想を実践することで、緊張がゆるみ、身体や表情をリラックスさせる効果やストレスが軽減し、集中力が高まるなどの効果も期待できます。
10〜15分の瞑想を行ない、その後の感想や心身の変化など、感じたことを書き出すとよいでしょう。薬物療法のように薬による副作用などの心配もなく、費用もかからないため、誰でもが安心して試せるセルフケア方法といえます。
コーピング
コーピングとはストレス反応が起こった時の対処方法のことです。英語の対処する、対応するという意味を持つ「cope」が語源であり、ストレスの原因や要因を解決すること、そしてストレスの負担を軽減することを目的としています。
コーピングの代表的な例は次のとおりです。
- 好きな音楽を聴く
- おいしいものを食べる
- ドライブを楽しむ
- 誰かに話をして気持ちを落ち着かせるなど
ストレスへの対処として自分が意図的にしている行動をコーピングと呼びます。人によって最適なコーピングの方法は異なるため、自分に合った対処方法を探してみましょう。
ストレッチや軽い運動
軽い運動やストレッチは、身体を動かすことでリラックス効果をもたらします。運動が苦手な方は、軽いウォーキングや短時間の外出などからはじめてみましょう。一時的に運動に取り組むのではなく、継続させることが重要です。
質の良い睡眠や健康的な食事
質の良い睡眠は心身の疲労を回復させ、仕事の集中力や生産性を高める効果が期待できます。さらに、栄養バランスの取れた食事を意識することで、心身ともに健康な状態を維持できるでしょう。
仕事から離れて自分の時間を楽しむ
仕事から離れて自分の余暇を楽しむこともメンタルヘルスを高めるうえで大切なポイントです。退勤後や休日は、思い切り余暇を楽しむことも意識してみましょう。仕事から解放される時間をつくること、そして職場以外の居場所を見つけることで精神的な安定が期待できます。
いつでもどこでもできるセルフケア例
メンタルヘルスのセルフケアの重要性を理解できたところで、ここからは具体的なセルフケア方法についてご紹介しましょう。
深く息を吸う呼吸法
深呼吸をすることで、緊張や焦りを解消し、リラックスする効果が期待できます。
- 1. 椅子に深く腰かけて、軽く背筋を伸ばす
- 2. お腹に手を置いて、鼻から深くゆっくり息を吸い、口からゆっくり息を吐く
- 3. 息を吸うことでお腹が膨らみ、息を吐いたときにお腹がへこんでいく様子を手で感じる
- 4. 2~3を複数回ゆっくり繰り返す
緊張や力みによって私たちの呼吸は浅くなりがちです。吸う息よりも吐く息を長くするように意識することで深い呼吸をしやすくなります。
口角をあげて笑う
笑うことで血糖値の上昇を抑える効果が期待でき、ストレス解消につながりやすいと考えられています。
心理学において「表情は感情に大きく作用する」ともいわれており、笑顔を意識してつくることで、脳内で「ポジティブ」の情動が生まれ、精神的に安定しやすくなるのです。口角をあげるだけでも効果がありますので、ぜひ実践していきましょう。
誰かとコミュニケーションをとる
ストレスや悩みを他人に話すことは、こころのなかに溜まった緊張を解放する手段の一つです。ただし、人によっては会話をすることで新たなストレスを感じてしまうケースも少なくありません。その場合は、一時的に人との距離を置くことも重要です。
まとめ
自分自身のメンタルヘルスを守り、精神状態を安定させることは、仕事においてもプライベートにおいても重要なポイントです。本記事でご紹介したセルフケアの手法を日常生活に取り入れ、こころを健康な状態に維持していきましょう。