例年、1月から3月頃になるとよく耳にするのが「確定申告」という言葉。
そもそも確定申告とは何か、何のために行うのか、自分は確定申告対象者なのか…情報が多く、わかりづらいことが多いですよね。
コロナ禍で働き方も多様化し、副業で収入を得ている人やフリーランスの人など、ご自身で確定申告を行う必要のある人が増加傾向にあります。
そこで今回は「確定申告とは?」「確定申告をするメリットは?」「いつまでに申請すればいいの?」など、確定申告に関するあれこれを解説していきます。
目次
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、簡単にいうと「税金を納めるための手続き」のことです。
1年間の収入から必要経費を差し引き、算出された「所得」にかかる税金を国(税務署)に納める手続きのことを指します。
毎年1月1日〜12月31日の所得から納税額が確定し、原則として翌年の2月16日〜3月15日までに税務署に申告・納税を行います。
1年間の所得に対し、源泉徴収税額や予定納税額を必要以上に納付していた場合、確定申告を行うことによって、余分に納めていた税金が還付されます。
確定申告をしないとどうなる?
期限までに申告をしないと延滞税や無申告加算税などの申告漏れによるペナルティが課されることがあります。
また、国民健康保険税は所得額によって減税が受けられるか否かが決まりますが、確定申告をしないと所得額が不明と見なされるため減税を受けることができません。
住宅ローンや教育ローンの申込みを行うには収入証明が必要とされますが、確定申告を行っていないと証明書は発行されません。
確定申告を行わないと生じる不都合が多くあるということを念頭に置いておきましょう。
確定申告が必要な人はどんな人?
- 個人事業主・フリーランスによる事業所得がある場合
- 配当所得がある場合
- 不動産所得がある場合
- 給与所得がある場合
- 退職所得がある場合
- 一時所得がある場合
- 雑所得がある場合(年金、事業的規模でない副業による所得などがある場合)
確定申告が必要ない人は?
- 個人事業主で、収入から経費や各種所得控除を差し引いた課税所得が0円である場合
- 事業所得が48万円以下の場合
- 副業の所得が20万円以下の場合
- 会社から年末調整を受けていて他の収入がない場合
青色申告と白色申告
個人事業主の方が行う確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。青色申告は、複式簿記という複雑な形式で帳簿に記帳し、事業上の支出入をすべて正確に記帳して申告する方法です。青色申告は白色申告と比較して、手続きはやや複雑になりますが、大きなメリットもあります。
青色申告を利用した場合のメリットは他にもあります。
- 所得から最大65万円を差し引くことができる青色申告特別控除がある
具体的には事業所得から10万円・55万円・65万円のいずれかの額を引くことができます。複式簿記で記帳し、確定申告に貸借対照表と損益計算書を提出するほか、確定申告の電子申告もしくは電子帳簿の保存が必要となります。
- 青色事業専従者給与を必要経費にできる
専従者給与とは、税法上の正式名称は「青色事業専従者給与」。青色申告で確定申告を行う事業主と、生計を同じくするご家族が、事業主と同じ事業に従事している場合にそのご家族に支払った給与のことをいいます。経費として所得から控除することで、節税が可能です。
- 純損失の繰越控除や繰戻還付、赤字を3年間繰り越すことができる
ある年の所得が赤字だった場合、そのマイナスを翌年以降の3年間にわたって、黒字分から控除することができます。前年度も青色申告をしている場合には、本年度の赤字を繰り戻して控除し、還付を受けることもできます。
確定申告の流れ
1.必要な書類を準備する
まずは提出しなければならない書類について確認し、揃えておくことから始めましょう。
- 確定申告書(令和4年分の確定申告より様式が統一されました!)
- 給与所得や公的年金等の源泉徴収票(原本)
- 医療費控除の明細書、社会保険料控除証明書など
- 私的年金等を受けている場合には支払金額などが分かるもの
- 本人確認書類(マイナンバーカードを持っているか否かで変わる)
- 印鑑
- 口座情報
確定申告書について
第一表:収入金額、所得金額、控除金額、計算項目をそれぞれ記入していきます。
第二表:所得内訳、住民税・事業税に関する事項などを記入していきます。
令和4年分以降用 所得税及び復興所得税の確定申告書|国税庁
青色申告に必要なもの
青色申告をする個人事業主は、以下のような「青色申告決算書」の作成と確定申告書への添付が必要です。損益計算書や貸借対照表のほか、売上や仕入などの内訳や合計額を記載する項目があります。
令和4年分所得税青色申告決算書(一般用)|国税庁
1枚目の損益計算書、2枚目、3枚目の損益計算書の内訳、4枚目の貸借対照表から構成されています。
- 損益計算書
1年間の事業の収益や費用の状態を表したもの。事業者情報、1年間の事業収支、原価や経費、収入から経費を引いた差し引き金額、青色申告特別控除を項目ごとに記載します。
- 損益計算書の内訳
損益計算書の内訳には、損益に関連した詳細な内容を記入します。2枚目には、月別の売上金額と仕入金額、給与賃金の内訳、専従者給与の内訳、貸倒引当金がある場合のその詳細、青色申告特別控除額を記入し、3枚目には、減価償却費の計算、地代家賃のうち本年中に支払が確定した金額、税理士や弁護士、公認会計士などへ報酬や料金を記入することになります。
- 貸借対照表
貸借対照表は、バランスシートと呼ばれるもので、事業の財政状態を一目で表したもの。1年間での事業の中での資産、負債、純資産について記入します。
白色申告に必要なもの
記載する項目は青色申告ほど多くありませんが、収入や経費の額、売上先や仕入先別の内訳、経費に関連する内訳を記載する項目があります。
令和4年分収支内訳書(一般用)|国税庁
白色申告には収支内訳書を一緒に提出する必要があります。「一般用」「農業所得用」「不動産所得用」の3種類があり、不動産所得と農業所得に該当しない所得は事業所得などに該当するため、収支内訳書(一般用)を使用します。
- 収支内訳書
収入や売上原価、経費の内訳、減価償却費の計算など、一年間の事業の状況をまとめます。また、従業員や事業専従者の氏名、賃金の内訳を記載する欄があります。
必要書類や提出書類は年度によって変更となることがあります。確定申告書に関する様式や必要書類などの最新情報は、国税庁のページをご参照ください。
ホームページはこちら
2.申告書を作成する
手書きで作成する
手書きで申告書を作成する場合は、書類を入手する必要があります。国税庁のホームページでダウンロードして印刷するほか、税務署で受け取ることができます。
国税庁ホームページ
インターネットの確定申告書等作成コーナーで作成する
ご自身のパソコンやスマートフォンから画面に従って入力していくだけで、自動的に申告書等の作成ができ、さらに「e-Tax」を利用するとそのまま送信・提出することができます。また、作成した申告書等データを保存しておけば、翌年の申告時に読み込んで活用できます。
国税庁ホームページ
3.申告書を提出する
確定申告書と収支内訳書/青色申告決算書の作成が終わり必要な添付書類が揃ったら、いよいよ税務署へ提出します。
税務署に直接持参する
手書きで作成した申告書、または「確定申告書等作成コーナー」の申告書を印刷のうえ持参します。
e-Taxを利用する
ID・パスワード方式:税務署でID・パスワードを発行し、確定申告書等作成コーナーを利用します。
マイナンバーカード方式:マイナンバーカードとスマートフォン又はICカードリーダライタを用意します。マイナンバーカードを読み込みe-Taxを利用します。
郵送する
手書きで作成した申告書、または「確定申告書等作成コーナー」の申告書を印刷のうえ郵送します。確定申告書は信書にあたるため、宅配便やゆうパック等では送付できません。
4.納税する
確定申告書等の提出が終われば、後は確定申告の期間内に納めるべき税金の額を納付すれば確定申告手続きは終了となります。
まとめ
ここまで確定申告の内容から手続き方法まで解説しました。
主な収入が個人事業主での収入であり、所得が48万円を超える・副業での所得が20万円を超える場合は確定申告の手続きが必要です。白色申告と青色申告の2つの申告方法があり、青色申告は税制優遇があることも説明しました。
申告までには資料の準備や入力で時間を多く要する場合があるので、早めに準備をしておきましょう。
働き方が多様化するなかで申告方法も変わってきています。現状で対応の必要がなくとも、今後必要になるかもしれません。ご自身が損をしないためにも、日頃から視野を広げて知識を持っておくことが非常に重要です。